ボッシュ:レガシー 受け継がれるもの│はみ出し者の刑事が一匹狼の私立探偵に変わるとき

作品レビュー
[広告] 当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。
ドラマ「ボッシュ」は当初考えていたほど、毎回激しい銃撃戦があるわけではありませんでした。そんなシーンより心に残るのは、あのLAを見下ろす高台の家。
今回の「ボッシュ:レガシー 受け継がれるもの」では、その高台の家からしばらく離れて暮らすことになるボッシュの別の顔が見られるかもしれません。
ボッシュの妥協を許さない生き方が、最終的にLAPDを去るという結果となり、「ボッシュ :レガシー」では新たな道、私立探偵として再出発することになります。

「ボッシュ:レガシー」はどんな作品か

「ボッシュ:レガシー」は、「ボッシュ」シーズン7(2021年)の続編として、2022年5月6日に Amazon Freevee でスタートしたスピンオフシリーズです。
最終的に「ボッシュ」7シーズン+「レガシー」3シーズン、合計10シーズンという長大な物語となりました。Amazonが制作した中で最長のシリーズでもあります。

「無料配信」という大きな変化

「ボッシュ」との大きな違いは、「レガシー」は「無料配信」でスタートしたことです。
オリジナルの「ボッシュ」はPrime Videoで配信されていましたが、「レガシー」はAmazon Freevee(無料・広告あり)でスタートしたんですね。これは視聴者にとって、Primeに加入していなくても無料で見られるということを意味します。
ただしシーズン3(最終章)ではFreeveeとPrime Video両方で配信されるという形で幕を閉じました。ちなみに、Amazon Freeveeは、プライム会員でなくとも誰でも無料で視聴できるサービスです。ただ、日本ではこのサービスは現在まで行われていません。

はみ出し者の刑事から一匹狼の私立探偵へ:何が変わり、何が変わらなかったか

ハリー・ボッシュの立場の変化:これが最大の転換点

LAPDを去ったボッシュは私立探偵となり、かつての宿敵である弁護士ハニー・チャンドラーと手を組んで仕事をすることになります。
「正義のためなら規則を曲げてでも」という姿勢は変わらないけれど、LAPDという「組織の盾」がない状態で戦わなければならない。これが「レガシー」の根本的な緊張感です。
「ボッシュ」が「組織の中で戦う男」の物語なら、「レガシー」は「裸一貫で正義を追う男」の物語、と言えるかもしれません。

ボッシュの相棒?あの高台の家はどうなったか?

「レガシー」は第1話の冒頭から容赦なく始まります。真夜中に地震が起き、ボッシュが懐中電灯を持って外に出てみると、あの家を支えているスティール製の柱(スティルト)にひびが入っているのを発見します。翌日、市の職員が家に「レッドタグ」を貼り付けに来ました。レッドタグとは「現状では居住不可」という行政の判定です。

マディが父親の荷物をまとめ、ボッシュは仮の住まいへ引っ越すことに。彼の「避難先」は自分の事務所で、愛犬コルトレーンと一緒にソファで寝る日々が続きます。あの雄大な夜景を眺めながらジャズを聴く場面が、シーズン1ではほとんど見られない…というのはファンにはかなり寂しかったようです。

シーズン2では、工事が終わらないのを待ちきれず、ボッシュ自らレッドタグを剥がして残りの修繕を自分でやり、家に戻ります。まったくボッシュらしい解決策ですね。

ボッシュを演じるタイタス・ウェリヴァーはインタビューで、「レガシー」が独自の作品であることを示すために、ボッシュをあえて「安全地帯」から引き離した、と語っています。

7シーズンかけて視聴者が慣れ親しんだあの家から引き離すことで、ボッシュが新たな障害に向き合わなければならないことを示した、と。

たしかに、あの丘の家は、ボッシュが豊かな孤独を味わうためのかけがえのない存在であったということなのかもしれません。

アメリカの私立探偵とは何者か:日本の「探偵」とはまるで別物だった

レガシーを見始めて、最近のドラマでは刑事ものばかり見ていて、私立探偵ものは久しぶりだと気が付きました。

私立探偵といっても、日本とアメリカではかなり大きな違いがあります。気になったので、このあたりを調べてみました。

日本の「探偵」の実情

日本では、届出さえ出せば誰でも探偵になることができます。特殊な権限もなく、資格も実務経験も不要です。そのため日本では「浮気調査やペット探しをしているご気楽な職業」と軽く見られがちという側面がありました。

ですが、2024年からは制度そのものが劇的に厳しくなったというより、「怪しい業者を排除し、透明性を高める」ためのアップデートが行われました。

これまでは警察から交付された「証明書」を事務所に掲げていればOKでしたが、2024年4月からは、決められた様式の「標識」を自ら作成し、事務所だけでなく自社のウェブサイトにも掲載することが義務付けられました(※小規模業者を除く)。

アメリカは別次元の「専門職」

アメリカでは49の州で探偵業のライセンス制度が整備されています。取得条件はかなり厳しく、刑事司法系の大学卒業に加え、4,000〜6,000時間、おおよそ3年分の実務経験が必要。警察官や軍の経験者であれば実務経験が免除されます。まさにボッシュがLAPD退職後にそのまま私立探偵になれる制度的な背景がここにあります。

権限の違いが決定的

日米の最大の違いはここです。

アメリカの私立探偵は拳銃の携帯も許可されており、刑事事件も扱います。公判の証拠集めや裁判での発言、さらに警察のように逮捕権限を持っている場合もあるのです。

ライセンスを持ったアメリカの探偵は個人の住所・電話番号はもちろん、クレジットレポート、訴訟・犯歴、学歴、出生・死亡・婚姻記録といった日本では考えられない個人情報にもアクセスできます。

仕事の内容も違う

日本の探偵は浮気調査や素行調査がメインですが、アメリカでは保険詐欺調査、企業調査、弁護士からの依頼による刑事事件の防御調査などが中心です。ボッシュが弁護士チャンドラーと組んで働くのも、まさにこの「弁護士+私立探偵」という組み合わせがアメリカでは自然な形だからです。

なぜアメリカに私立探偵文化が根付いたか

アメリカの地方分権的な警察制度の歴史的背景から、「警察が自分の権利を公平に守ってくれるとは限らない」という観念が生まれ、自分の権利は自分で守る「自衛手段」として私立探偵の文化が発展してきたという経緯があります。

まとめ:主要キャスト3人体制

前作「ボッシュ」では、主役はボッシュ一人。その彼の周りに、元妻や娘マディ、当時は宿敵であった弁護士のチャンドラーが取り巻いていました。

その娘マディが、「レガシー」ではLAPDの新人警察官として登場します。
子供のころから父親を尊敬し愛していたマディが、父と同じLAPDで働くことになったわけです。そのマディが、ある事件に巻き込まれた時のボッシュの涙が忘れられません。

弁護士チャンドラーに関しては、「ボッシュ」の最初の頃の嫌な弁護士、の印象が強くて、まさかそんな宿敵弁護士チャンドラーとボッシュが組んで仕事をすることになるとは考えてもみませんでした。しかも、そんなチャンドラーにマディは母親を重ねて見ているのです。

今や警察官となった娘マディ。そして私立探偵として相変わらず事件と向き合うボッシュ。
立場は違えど、自立する娘を背後から見守る父としてのボッシュを見ると、前作よりさらに父性を深く感じることができます。

 

ドラマ「ボッシュ」タトゥーは本物だった!タイタス・ウェリバーと原作者が作り上げたハリー・ボッシュ

コメント

タイトルとURLをコピーしました