
「刑事アナイス」は、ニュージーランドのクイーンズタウンが舞台のミステリードラマです。
毎回事件を解決しつつ、自身の家族間の複雑な背景に、刑事としての顔とは別の、人間的な表情も垣間見られます。
事件は陰惨でも、舞台となるクイーンズタウンの壮観な自然には、毎回圧倒されます。
「刑事アナイス」はどんなドラマ?
「刑事アナイス」は、ニュージーランド・オーストラリア合作のクライムドラマで、フィリー・デ・レイシーとジョン・バナスが脚本を手がけた作品です。2024年にニュージーランドのTVNZ 1とオーストラリアのナイン・ネットワークで初放送されました。
2024年11月の本国放送では第1話が視聴率37.1%を記録し、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツなど世界各国でも配信されました。ニュージーランド国民の約3人に1人が視聴したと言われる記録的な大ヒット作です。
物語の中心にいるのは、聡明で意志の強い殺人課の刑事アナイス・マロリー。
シドニーへの出向で華々しいキャリアを積んだ後、故郷クイーンズタウンに戻り、主任刑事として着任します。彼女の目的は新たな事件を解決することだけでなく、父と妹の死の真相を解き明かすことでもありました。
各話90分の1話完結形式で全4話構成。毎話ごとに独立した殺人事件があり、妹リンの事故死をめぐる謎が全体を貫く縦軸として走ります。
2025年4月にシーズン2の制作が決定し、さらに2025年11月には全6話への拡大が発表されています。
「刑事アナイス」主要登場人物について
「刑事アナイス」に登場する人物について、簡単に紹介しておきます。
アナイス・マロリー(チェルシー・プレストン・クレイフォード)
主演を務めるチェルシー・プレストン・クレイフォードは4歳で俳優デビューした実力派。13歳のときには、『X-MEN』や『ロード・オブ・ザ・リング』で知られるイアン・マッケランにその才能を絶賛されたといいます。優秀でありながら人間らしい弱さも抱える等身大の女性刑事を熱演しています。
ヴェロニカ・マロリー(レベッカ・ギブニー)
アナイスの母親役を務めるのは、ニュージーランドを代表するベテラン女優レベッカ・ギブニー。アナイスとの間には複雑な母娘関係があり、彼女の家を訪ねては関係が悪化するという場面が繰り返されます。
サイモン・ディレイニー(マット・ウィーラン)
アナイスの同僚刑事。口が悪く物事をぶっきらぼうに言いますが、相棒として捜査を共にします。
ルーク・スタントン(チャールズ・ジャズ・テリエ)
アナイスの元婚約者。現在はアナイスの元親友マヤと結婚しており、アナイスの父と妹の死に何らかの関わりがある可能性が浮上します。
マヤ・スタントン(インディアナ・エヴァンス)
オーストラリア出身で、アナイスのかつての親友。現在はルークの妻。
イハカ(アレックス・タラント)
アナイスの元同級生で法医解剖医。人気ドラマ「NCIS:ハワイ」シリーズでカイ・ホルマン役を演じた注目の俳優です。
マオリ文化の視点もドラマに深みを加えています。
「刑事アナイス」の舞台となるロケ地
クイーンズタウンは、鋭い山並みを背景にワカティプ湖の広大な青い水面が広がる、まるで絵葉書のような美しさを持つ場所。
同時に、静けさと危険の間で揺れ動く二面性のある場所として描かれています。

私がこのドラマをあまり期待もせずに見始めたとき、冒頭の山並みのシーンの航空撮影の映像の美しさに圧倒されて最後まで見続けた、といういきさつがあります。
「刑事アナイス」の本当の主役は、このクイーンズタウンの景観の圧倒的な美しさと空気感なのではないかという気がします。
「ブラウン神父」の舞台となるコッツウォルズのドメスティックな自然と比べると、スケールの大きさの違いが判りますね。でも、クイーンズタウンの自然は恐怖と隣り合わせの自然とも言えるかもしれません。
主な舞台となるロケーションは以下の通りです:
スキッパーズ・キャニオン:
ショットオーバー川の上に危うく突き出るように延びる、細く険しい峡谷。第1話の核心となる場所で、断崖から車が転落するシーンが印象的です。
ザ・リマーカブルズ山脈:
ドラマのタイトルにも掛けられた山脈で、圧倒的なスケールの映像美を生み出しています。スキッパーズ・キャニオンはアロータウン近郊にあり、『ロード・オブ・ザ・リング』でアルウェンが黒の騎士たちと対峙したシーンのロケ地としても有名です。
廃坑となった金鉱山:
第2話では閉鎖された金鉱山のトンネルの中でネズミにかじられた遺体が発見されるという不気味な事件が展開されます。
ワカティプ湖:
ドラマ全体に漂う「静水の下に潜む闇」というテーマを象徴する場所として繰り返し映し出されます。
アナイスという女性について
アナイスは、刑事としても優秀で、自立している一人の女性でもあり、賢くて美しい。
でも、どこか孤独な影を感じるのは、母親との関係がうまくいっていないことが原因なのかもしれません。
アナイスは、父親を殺され、妹を事故で失うという経験をしていて、特に妹が亡くなったことが、母親との関係になんらかの不協和音を生じることになったと想像できます。
妹の死が原因で母親と疎遠になったのか、それともほかに原因があったのか、シリーズが進んでいくうちに謎が解けていくかもしれませんね。
最初に目に留まったのは、このマフラーでした

たしか、シーズン1の1話目に、アナイスが無造作に首に巻いていたマフラーが目に留まり、その後も同じような配色のマフラーがいくつか登場しました。
マフラーなのでニットとばかり思っていたものが、確認するために見た二度目の時に、織物のマフラーだと気づいたものもあります。
このドラマの中で、アナイスが着ているものは、セーターが多いものの、ほとんどデザインというほどのものでもないシンプルなものばかりで、色もベーシックな単色。その中で、これらのマフラーがとてもきれいに映えて印象的でした。

ただ一つだけ、印象に残るセーターがあります。それは、シリーズの前半で、母と気まずくなったために”山小屋”と呼んでいるもう一つの住まいに移った後、
暖炉に火をつけて、仕事の資料に目を通したりしているときに着ていた、少しグレーっぽいベージュのたっぷりとしたリブ編みのセーターです。
かなりオーバーサイズなセーターが、仕事で着ているときのフィット感のあるセーターに比べて、プライベートの空間という空気を醸し出していたところに、演出の意図を感じます。
まとめ:クイーンズタウンを身にまとう刑事
ミステリーでもヒューマンドラマでも、ついつい何度も見てしまう映画やドラマには、ストーリー展開だけではなく、全体を流れる空気感みたいなものに惹かれることが多いのかなと感じます。
その世界観に触れていたいと感じさせるドラマは、どんな俳優が演じているのかに関係なく、その空間に自分も存在したいと思わせるものがある。
「刑事アナイス」にもそんなところがあるのかなと感じました。
でも、一番の吸引力は、あのクイーンズタウンの絶景でしょう。
絵葉書のように美しい、というと平板な感じがしますが、印象としては、”ソリッド”というか、”エッジの効いた”というか、スイスやオーストリアの雄大な景色とも違う、もっと大きくて深い、底知れない美しさを感じました。
アナイスが、ベーシックなセーターやコートとともに身につけているマフラーが、どうしてあんなに印象深いのかと思ったら、
ストライプにしても、ブロック風の柄にしても、配色がいつも同じような寒色と暖色の組み合わせ。ブルーと、少し抑えた黄色やオレンジ。湖の色と、秋の山の色。
アナイスはずっと、クイーンズタウンそのものを身にまとっていたんですね。
アナイスはずっと、クイーンズタウンそのものを身にまとっていたんですね。
「刑事アナイス」シーズン1は、Amazon Prime Videoで全話配信中です。
あの景観と、アナイスのマフラーを、ぜひご自身の目で確かめてみてください。
あの景観と、アナイスのマフラーを、ぜひご自身の目で確かめてみてください。


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